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こんにちは、弁理士の宮﨑浩充です。
色彩学貴重書図説
北畠 耀
(雄松堂出版)
知人からのいただきものです。シュヴルール、マンセルなどの残した原稿、メモ、図面などを掲載した色彩学の歴史を物語る本です。
実は私、本業に関連して1級カラーコーディネーター「商品色彩」をとるため勉強中です。
アシスタントカラーコーディネーターは既に取得したので、いよいよ上記資格取得の準備中です。
この本に出てくる人物や内容は、3級カラーコーディネーター検定で出題されたものなので、よく覚えています。基本的なことではありますが、大事なことなので忘れないようにしたいと思います。
色彩学に関する本は、より広く、より詳しいものが多くありますので、上記の本で勉強するということはありません。この本は、色彩学の歴史的な面に特化したものです。
1級カラーコーディネーターのため勉強を始めたきっかけは、色彩と商標(商品等表示)についてセミナーをすることになったからです。
もちろん、商標法や不正競争防止法などの法的な面からの解説をするものですから、別にカラーコーディネーターである必要はありません。
ただ、色彩学の基本を知らずに色彩と商標を語るのは、些か不完全であると思ったことがきっかけで、色彩学もかじってみたというところです。
勉強したことは、役には立っていると思います。
色彩の特徴を多少とも踏まえて商標実務を見ると、違う角度からのアイデアが出てくることもありますので。
新年明けましておめでとうございます。
弁理士の宮﨑浩充です。
民事尋問技術(第4版)
加藤 新太郎
(ぎょうせい)
完全な寝正月を過ごしてしまいました。
夜更かしをした上に、駅伝を見ながらコタツで昼寝する毎日。
よく風邪を引かなかったものです。
さて、そんな怠惰な正月の間に唯一読み耽った本です。
一度はマジメに勉強しておきたかった分野なので、年末年始を利用して一気に読んでしまいました。
司法研修所の元教官達が執筆陣に名を連ねており、深い考察と分かり易い説明で、たいへん面白く、また分かり易いものでした。
基本的には、主尋問を抜かりなくできるよう注意しながら読みました。読みながら、知財事件の場合、何を、どのように、どの程度訊いていくのか想定していました。
物証のウェイトが高いことから、尋問が重要になるような事件は少ないだろう、少なくとも自分には回って来ないだろうと思いながらも、もしそのような事件に巡り会ったときにも、慌てなくてもよいように準備だけはしておこうと思います。
しかし、読んでいて面白いのは反対尋問の解説です。元々日本では成功することが少ないだけに、僅かなチャンスを見逃さずに捉えるための技術・心構えが書かれていました。
一瞬の判断の差が結果を分けることもあるだけに、これについては普段から切磋琢磨しておかないと、どうにもならないという感じです。
こういう普段の業務とはほぼ関係のない分野を知っておくことも、どこかで役に立つかもと思いつつ、楽しんで読めました。
いい正月休みでした。
本所おけら長屋
畠山 健二
(PHP文芸文庫)
久々の更新となりました。ここ暫く仕事にかまけてしまい、このコラムの更新がすっかり疎かになってしまいました。
この間、外国出張が急に入ったり(入れたり)、急ぎの出願案件が入ったりと、おかげさまでやり甲斐のあるお仕事をさせていただくことができました。
さて、標記の本ですが、まったく初めての作者の作品です。このところ、書店では江戸期の人情ものが数多く出ており、面白そうだったので、軽い気持ちでチャレンジしてみました。
この作品、江戸の町中にある長屋の住人たちが引き起こす様々な事件をつづった物語です。
先ほど全ての話を読み終わりました。読後感は、面白かった、心がやや温かくなれた(もちろん、褒めております)という感じです。
江戸期の、しかも人情ものですので、合戦などはなく、斬り合いも少しばかりです。
ですので、そういうサムライものの面白さではなく、昔の日本を舞台にした、日本人の心の優しさが日々の生活の中からにじみ出てくるような面白さです。
先に述べたように、この頃、江戸や大阪の町を舞台にした、切った張ったの色合いが薄い作品で、面白いものが多く出てきているように思います。
この本もその一つなのですが、昔の人々の日々の生活にかなり近い場面設定のもとで、ドラマ性を出すことに成功しています。
こういうソフトな物語が人気を博すということは、現実社会ではその逆の状況があって、そのような現実社会で積もったストレスや消耗した心を潤してくれるからか、とも思ってしまいます。
日本の社会は、20年前と比べると、私のような者が見ている限りでも、大きく変わった気がします。どこが、とは敢えて申しませんが。
社会が変わっても、人の気持ち(特に年齢の高い人々の気持ち)は、そう大きく変わるものではありません。そうすると、変化してゆく社会の中で、それに合わせて生きることに疲れるのでしょう。私も若くはないので、それがよく分かります。
そんなとき、昔ながらの場面設定の中で、昔ながらの日本人の心や優しさが表現された作品を読むと、ホッとすることがあります。
ところでこの本、実はシリーズが続いているようです。正月休みはこれを読破しようと思います。
伝わっているか?
小西 利行 著
(宣伝会議)
現役のコピーライターによる著述です。
日常のコミュニケーションのヒントに始まり、ビジネス戦略やさらには地域ブランド創出に至るまで、面白く、そして分かり易く解説する本です。
場末のスナックを経営し、美味しいナポリタンを作るオカマと、その店の常連であるイルカが登場します。そして、そのスナックには様々な悩みをかかえた人々が来店し、オカマとイルカに悩みを相談し、解決して帰っていくというショートストーリーで構成されています。
言葉により技術を説明し、言葉により相手を説得することを職業としているにもかかわらず、言葉というものに対する考え方があまりにも浅かったことを反省させられます。
言葉の力は大きいのです。
(以下、引用部分)
たとえば、好きな人に「会いたい」気持ちを伝える時も、
今日、会える?
より
一分だけでもいいから、今日、会える?
と伝えた方が、相手はきっと喜びます。
(引用部分終わり)
このように言われたら、それだけで胸がときめいてしまいそうです。うーん、すごい!
ただし、誤解しないで下さい。この本は、言葉一つで他人を言いくるめたり、煙に巻いたりするような愚劣なことを開陳するような本ではありません。
むしろ、言葉を誠実に使うことの重要性を説き、同時に言葉の恐ろしさを教えてくれます。だからこそ、言葉というものを甘く考えず、真摯に言葉に向き合わなければいけないなと考えさせられるのです。
この本を読むことで、言葉を丁寧に使おう、そして、言葉を使う私自身の心をきれいにして、美しい言葉を語る人間になろうと思いました。
失敗の本質 日本軍の組織論的研究
戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
(中央公論新社)
ご存じの方も多いでしょう、名著です。
初版が1991年ですが、未だに書店では帯紙付きで並んでいます。
内容については、あちこちで紹介されていますので、今さら紹介しません。
私が今回この本を取り上げた理由は、内容について語りたかったからではありません。
私はこの本を今年の5月頃に購入しました。以前に図書館で借りて読んだことがありましたが、再び読みたくなったので購入したのです。
帯紙にはこう書かれています。
「都庁は敗戦するわけにはいきません!」「小池百合子都知事、座右の書」
そうなんです。築地問題で百条委員会が開催されたり、オリンピック会場について再考したりして、小池都知事がマスコミにもてはやされていた時期だったのです。
出版社(書店かな?)までも小池都知事の人気に乗っかっていたのがよく分かります。
そして衆議院議員選挙が終わり、結果はあのとおりです。
小池都知事をもてはやしていたマスコミの手のひらの返しようはいつもと同じです。
今日、本屋さんでこの本を見つけました。帯紙は小池都知事のままでした。
節操なく別の誰かに乗り換えているかと思いましたが、そうでもないようでした。
が、私には、この帯紙が以前とは全然違う意味を持っているように思えます。