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こんにちは、弁理士の宮﨑浩充です。
タイポグラフィスケッチブック
スティーヴン・ヘラー/リタ・タラリコ 著
(グラフィック社)
「タイポグラフィ」ってご存じですか?私は、つい最近まで、その言葉を知りませんでした。簡単にいうと、出版の世界ではフォントのような独特の装飾字体を指します。
でも、「フォント」とは違います。
その昔、フォントについての著作物性が争われた裁判例がありましたが、タイポグラフィはフォントとは異なり、書家による書と同様に著作物性が認められます。
この本は、欧文のタイポグラフィを集めたもので、字体というよりはもはや絵画というのがふさわしいような出来映えのものもあります。
眺めるというよりも鑑賞するという方が当たっており、飽きることがありません。
しかし、芸術的嗜好を充たすために私はこの本を購入したのではありません。もちろん、本業に必要だからです。
そう、著作権侵害が問題となる事件の相談を受けたのです。
創作性が争われる事件では、その分野における過去の作品や出版物などを幅広く分析する必要があります。その上で、果たして創作性があるのか、創作性があるとしてどの範囲で独占排他性を主張できるのかを検討します。
だから、私はこの本の他にも、タイポグラフィや欧文書体に関する書籍を調べました。
私は、特許公報を調べるのも好きですが、こういう調査をするのも好きです。普段の特許出願業務とは発想をガラリと切り換えて臨むのですが、この発想の切り換えが難しくもあり、面白くもあるのです。
弁理士の業務の醍醐味の一つであると思っています。