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こんにちは、弁理士の宮﨑浩充です。
本所おけら長屋
畠山 健二
(PHP文芸文庫)
久々の更新となりました。ここ暫く仕事にかまけてしまい、このコラムの更新がすっかり疎かになってしまいました。
この間、外国出張が急に入ったり(入れたり)、急ぎの出願案件が入ったりと、おかげさまでやり甲斐のあるお仕事をさせていただくことができました。
さて、標記の本ですが、まったく初めての作者の作品です。このところ、書店では江戸期の人情ものが数多く出ており、面白そうだったので、軽い気持ちでチャレンジしてみました。
この作品、江戸の町中にある長屋の住人たちが引き起こす様々な事件をつづった物語です。
先ほど全ての話を読み終わりました。読後感は、面白かった、心がやや温かくなれた(もちろん、褒めております)という感じです。
江戸期の、しかも人情ものですので、合戦などはなく、斬り合いも少しばかりです。
ですので、そういうサムライものの面白さではなく、昔の日本を舞台にした、日本人の心の優しさが日々の生活の中からにじみ出てくるような面白さです。
先に述べたように、この頃、江戸や大阪の町を舞台にした、切った張ったの色合いが薄い作品で、面白いものが多く出てきているように思います。
この本もその一つなのですが、昔の人々の日々の生活にかなり近い場面設定のもとで、ドラマ性を出すことに成功しています。
こういうソフトな物語が人気を博すということは、現実社会ではその逆の状況があって、そのような現実社会で積もったストレスや消耗した心を潤してくれるからか、とも思ってしまいます。
日本の社会は、20年前と比べると、私のような者が見ている限りでも、大きく変わった気がします。どこが、とは敢えて申しませんが。
社会が変わっても、人の気持ち(特に年齢の高い人々の気持ち)は、そう大きく変わるものではありません。そうすると、変化してゆく社会の中で、それに合わせて生きることに疲れるのでしょう。私も若くはないので、それがよく分かります。
そんなとき、昔ながらの場面設定の中で、昔ながらの日本人の心や優しさが表現された作品を読むと、ホッとすることがあります。
ところでこの本、実はシリーズが続いているようです。正月休みはこれを読破しようと思います。