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こんにちは、弁理士の宮﨑浩充です。
竜宮城と七夕さま
浅田 次郎 著
(小学館)
私のもっとも好きな作家、浅田次郎氏によるエッセイ集のご紹介です。
浅田氏の著書については、過去に「プリズンホテル」「勇気凛々ルリの色」を紹介しました。
誇張ではなく、浅田氏の著書は、一作品を除いて全て読んでいます。大好きです。
標記の本は、某航空会社の機内誌に掲載中のエッセイを加筆・修正して出版されたものらしいです。そのため、旅の話題が多く出てきます。
20年くらい前から読み始めた浅田作品ですが、氏もとうとう還暦を越えられたようです。
ラスベガスに行く話は、本誌以外にも度々登場しますが、今もラスベガス通いを元気になさっているようです。
「勇気凛々・・」を書かれていた頃には、それこそ寝る間もないくらい原稿の締め切りに追われながら、それでも僅かな時間を作り出してでもラスベガスへ飛び、疲れた脳をリフレッシュさせている様子がよく表れていました。
それから20年、すっかり大作家になられ、落ち着いてきたかにも思えますが、いやはや、ラスベガスでのリフレッシュは欠かさないようです。
本誌を読んでいて感じたのですが、文章や思考のレベルというか、格というか、そのようなものが格段に上がっているのです。
「勇気凛々」では、これから上昇する勢いだとか、苦労を積み重ねた男の持つ独特のセンスだとか、そういったものがにじみ出ており、強烈な感動や笑いをもたらしてくれました。
これとは異なり、本誌では勢いのようなものは影を潜め、代わって思考の奥深さや観察眼の鋭さなど、一流作家らしい、落ち着いた感動や笑いを味わうことができるのです。
「勇気凛々」では、銭湯をこよなく愛する氏がマナーを心得ない若者に激怒するエピソードが出てきますが、本誌での氏は、よもや激怒するようなことはしません。代わりに、時代の移ろいや銭湯文化の行く末などに思いを巡らせ、独特のユーモアを交えて話を締めくくります。
読み終わった後は、浅ちゃんは偉大な小説家になったのだなあとしみじみ思いました。20年も読み続けていると、何だか他人の気がしなくなります。
もちろん、知り合いでもなければ会ったこともない方です。でも、エッセイや小説を通じて氏の人間性が何となく分かった気になっているため、親戚の伯父さんのように錯覚してしまいます。
このエッセイを書いている途中で、相談の電話が入りました。どうやら急を要する模様。
これより本業に頭を切り換えることにします。