[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
こんにちは、弁理士の宮﨑浩充です。
鬼神
矢野 隆 著
(中央公論新社)
久々の更新ですが、この頃はこれまで読んでこなかった新しい作家の作品を読み漁っています。
上記の本もその一つで、とても面白かったです。面白いし、歴史の作られ方というか事実の歪められ方がよく描かれています。
この著者の作品の特徴の一つとして、両者の正義というのが具体的に書かれているのです。
例えば上記の本では、源頼光とその家来達と、これに対する大江山に住む朱天とその仲間との戦の物語です。そして、朱天のほうは都の人間から酒呑童子という鬼としてみなされるようになります。
都の人間である源頼光も、大江山に住む朱天も、いずれも自己の生きる場所で自己の守るものを持って生きています。どちらが善でどちらが悪ということもありません。
善や悪というのは、後の人間(通常は戦いに勝った人間)が決めていくもので、あくまでそれは一方的な見方でしかないのだというのがよく分かります。
鬼が登場する物語や伝説も、冷静になって見てみると、結局は人間同士の利害の衝突の結果、正義になった側と「鬼」にされてしまった側ができ、そのような勝利者が正しいのだということを喧伝するための一つの方策であるということなのかもしれません。
ということは、鬼より怖いのはやはり人間?