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こんにちは、弁理士の宮﨑浩充です。
あい 永遠に在り
高田 郁 著
(角川春樹事務所)
2013年に出版された、少し前の本です。
高田郁氏の作品は、本作が2作目です。初めて読んだのは「あきない世傳 金と銀」で、大阪天満界隈の商家で繰り広げられる物語でした。その本についても、後日ご紹介したいと思います。
さて、この本の主人公である「あい」は、幕末期から明治にかけて活躍した医師関寛斎の妻で、生涯を寛斎のために尽くして生きた人です。
主人公は、妻であり母でもある一人の女性であり、物語の中では、女性の視点からのものの考え方が丁寧に描かれています。
読んでいると、次はこういう展開になるか、とか、ここで主人公はこう考えるのだろうな、とか、つい自分の視点から見た先読みをしてしまうことがあります。
しかし、そのような先読みは男性のものの見方によるものであり、往々にして裏切られました。それがとても新鮮であり、まったく退屈することなく一気に読んでしまいました。
また、この物語には、あいと寛斎の清潔で清々しい生き方が描かれており、一貫して清らかな雰囲気が流れています。読む者の心に清々しさを残してくれます。
合戦ものでもなく、謀略やスリルがあるものでもありませんが、このような淡々としており、それでいて簡素な美しさのある物語も良いものだと思います。
このように思うのは、年をとったからかもしれません。