[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
こんにちは、弁理士の宮﨑浩充です。
契約書作成の実務と書式
企業実務家視点の雛形とその解説
阿部・井窪・片山法律事務所/編
有斐閣
このブログを構想したとき、まっ先に浮かんだのが標記の本です。
私は普段、必要な事柄を調べるため多くの本のお世話になっていますが、その中でも、この本は群を抜いて利用頻度の高い本です。
ここでは本の内容を書きません。この本の価値は本を購入した人が受けるべきだと思っているからです。
ここでは、この本の良いところを思いつくままに書いてみたいと思います。
この本は雛形が非常に充実しています。
ただ、多くの雛形を掲載しているだけの本ならば、既に多く世にあるでしょう。この本のすばらしいところは、雛形の充実度よりも、各条項のそれぞれの根拠が丁寧に解説されていることだと思います。
契約当事者には個別の事情があって、雛形の文言をそのまま用いることができる場合というのは案外少ないのです。
この本のように丁寧に教えてもらえれば、それぞれの事情に応じて文言をアレンジし、最適な条項を作成することができます。
しかも、根拠となる書籍・資料がたいへん豊富であり、それらも合わせて参照してみるとより理解が深まり、実務に耐えられる知識を得ることができます。
ここで挙げられている資料ですが、メジャーな書籍だけではなく、「よくここまで探したな・・・」と思ってしまうような書籍も含まれており、いかに編者が徹底的に調べたかがよく分かります。
私はよく、デザイナーとの委託契約書をドラフトするときにこの本を参照します。発注者(なぜか自治体が多いのですが)の側から考えるときもあれば、デザイナーの側から考えるときもあります。なお、この本には、デザインの委託契約書の雛形は無いのですが、状況がよく似た契約の例は豊富にあります。
この本は、タイトルのとおり契約書作成実務を解説するものであり、その範囲は知財に限られていません。
しかし、編者は知財実務者の皆さんがよく知る法律事務所であり、知財にかかわる契約についても豊富な解説が加えられています。
知財の実務に携わる人にとっても、たいへん重宝する本でしょう。